Chainpost
メタバースを解説
更新日:2022年7月5日
「メタバースを取り扱う最初の株銘柄」として、Robloxは、2021年3月10日にニューヨーク証券取引所に上場し、初日に54.4%上昇、時価総額が400億米ドル超えを達成しました。数ヶ月後には、メタバースと言う概念は突如として私たちの中に組み込まれ、今日までその存在感を増し続けています。そしてこの分野に世界的なテクノロジー大手企業が続々と参入し始めています。たとえば、世界で1日あたり30億人近くのアクティブユーザーがいるFacebookは、名前をMetaに変更、Microsoftは、ActivisionBlizzardを690億ドルで買収したのが記憶に新しいです。
なぜメタバースの概念が爆発的に浸透し、世界のハイテク大手企業や投資機関の注目を浴びるようになったのでしょうか。暗号資産業界と何の関係があるのでしょうか。
それらに対する答えはすべて、メタバースと関連するアプリケーションの概念から始まります。

メタバースの基本概念
「メタバース」という用語は、SF作家のNeil Stephenson氏の著書「Snow Crash」が起源となっています。この本は、デジタルアバターを通じてバーチャルな3次元空間に住む人々のビジョンを説明しているものです。メタバースと呼ばれるこの仮想空間には、完全に機能する経済、データ、コンテンツ、仕事があり、現実世界から切り離されながらにして類似しており、常にオンラインになっています。映画「ReadyPlayerOne」では、人々はVRデバイスを身に付け、オアシスと呼ばれる仮想空間に移動し、現実の世界では不可能な多くのことを行っています。
Roblox CEO Baszucki氏は、プラットフォームの特性に応じて、メタバースが持つべき8つの属性を定義しています。アイデンティティ、友人、没入感、低摩擦、多様性、接続性、経済、そして礼節を伴う行動です。
本質的に、メタバースとは、ブロックチェーン、クラウドコンピューティング、AI、IoT、およびその他の新しいテクノロジーを使用し、ユーザーがそれぞれの独立した3Dアバターを通して、他のユーザーとの同時かつ継続的なコミュニケーションを体験できる、大規模で拡張性の高い、3Dのバーチャル環境を創造することを指します。各ユーザーは、ID、経歴、能力、物体(姿)、コミュニケーション、およびトランザクションが独立した3Dアバターを使用します。
これは完全な人間社会であり、その空間内で完結できる経済システムも生み出します。
メタバースの機能
永続性:データは、永久に保存できるストレージデバイスに保管されます。
分散化:類似した決済方法の実現;現在の送金方法の場合、唯一の解決策は銀行カードまたはPayPalなどを使用した支払い方法です。これらはすべて、中央機関に送金を完了するように要求するという共通の機能を備えています。分散化での主な違いは、一元化された仲介業者が必要ないことです。すべての取引においては、当事者のみのインタラクションで完結することが可能です。
オンラインの仮想環境:メタバースの世界は基本的に現実世界を映し出す鏡のようなものであり、仮想環境は現実世界をバーチャル化したものです。
メタバースと暗号資産市場の関係
インターネット技術はインターネットを取り巻く環境下の「インフラ」であり、ブロックチェーン技術はメタバースの「インフラ」であると言われています。これを説明するためにメタファーを使用できます:メタバースでは、AIが脳として機能し、IoTが感覚として機能し、VR / ARが手と足となり、ブロックチェーンが全世界をつなぐ循環システムです。
メタバースに適合するブロックチェーンの重要なポイントに、所有権のデジタル証明、価値の移転、公正なガバナンス、相互運用性、デジタルコレクション、ウォレットの作成などがあります。
ユーザーは、支払いやその他個人に関する詳細の提供をしなくても、ブロックチェーン上でウォレットを作成できます。ウォレットは秘密鍵にアクセスでき、独自のブロックチェーントランザクションアクティビティまたは資産をすべて記録するため、デジタルIDと所有権の証明を確立するための最も安全で信頼性の高い方法の1つになります。これは、メタバースの世界で独自のデジタル資産とトランザクションを管理するための便利な方法を提供します。
人間社会を映し出す仮想空間としてメタバースは、公正かつオープンで透明な社会的ルールを管理する必要があります。ブロックチェーンには、このための成熟した解決方法とアプリケーションが存在します。メタバースの世界では、複数のプロジェクト同士を接続する必要があり、これにはブロックチェーンが相互運用可能でシームレスである必要があります。この問題はPolkadotプロジェクトによって解決され、Polkadotエコシステム内のさまざまなパラチェーン間で、いつでもデータまたはアセットをブロックチェーン間で転送できるようにすることで、真の相互運用性を実現します。
情報基盤の構築やソフトウェアアプリケーションの運用に関わらず、将来のメタバースにはブロックチェーン技術のサポートが必要になることがわかります。
メタバース・アプリケーションシナリオ
拡張性が高く、インタラクティブな仮想空間を完成させるには、メタバースは経済、社会、小売、エンターテインメント、広告、文化、旅行、健康などの多くの分野を網羅する必要があります。
1.経済
分散型金融として知られるDeFiは、ブロックチェーン技術に基づく金融システムであり、2020年の夏に爆発的に発展し、さまざまなアプリケーションで大きな進歩を遂げ現在も人気を博しています。一部の分野には、分散型貸付、分散型取引所、支払いなど、その他の分野が含まれます。
2.エンターテイメント
非代替性トークンとして知られるNFTは、メタバースの重要な情報基盤となる、分割のできない資産を指します。現在適用されている分野は、NFTゲーム資産、固有のアートワークID、固有のデジタル収集品、デジタル音楽、暗号資産、識別ツール、デジタル証明書などです。CryptopunksやLootなどの作品は人気があり、知名度が高いNFTの一つです。ゲーム、defi、NFTの組み合わせであるGameFiは、メタバースで強力な可能性を秘めたP2E(Play-to-Earn)を中心としたビジネスモデルを指します。 Axie Infinityは、PUBG Mobileの1日の平均収益の2倍となる約1750万米ドルを何度も超えており、メタバースとP2Eの可能性にスポットライトを当てるのに一役買っています。
3.ゲーム
現在最も人気のあるメタバースゲームはSandboxです。Sandboxとは、ブロックチェーン上でプレーできる「Minecraft」ゲームだと考えていただくとわかりやすいです。ゲームのコンテンツはプレーヤーによって完全に管理され、各プレーヤーは高品質なコンテンツの作成と提供に参加できます。ゲームでは、プレイヤーはリアルマネートレーディングで土地やその他のゲーム素材を取引するためのトークンとしてSANDトークンを使用できます。
4.デジタル不動産
メタバースには、イーサリアムを搭載した仮想現実プラットフォームであるDecentraland(MANA)など、デジタル不動産を提供する多くのプラットフォームがあります。ユーザーは、Decentralandの世界でコンテンツを作成、体験、開発して収益を得ることができます。このプラットフォームにより、クリエイターはメタバースで高品質のコンテンツを紹介でき、有名なアーティストやデザイナーがそのようなプロジェクトに参加して、ユーザーがアクセスできるバーチャル・アート作品を作成できます。
まとめ
メタバース分野は、没入型の体験、バーチャル・アイデンティティ、強力な社会的要素などに挙げられるその特長から、世界的なテクノロジー大手企業が市場に参入し、金融機関が投資を競う分野に成長しています。ただ、現在のメタバースの概念は、まだ進化と発展の初期段階にあります。ビルダーは、さまざまな分野でのアプリケーションの断片化、対話エクスペリエンスの低下、持続的なユーザーエンゲージメントの低さなどの問題に直面しているため、完全な仮想空間を創造することはまだ困難を伴います。
これはチャンスであると同時に挑戦でもあります。
現在のメタバースの技術と情報基盤は完璧にはほど遠い段階にありますが、このコンセプトの流行により、人々はその開発の可能性を認識し、メタ、マイクロソフト、アップルなどのテクノロジー大手企業の注目を集めています。将来を見据えた投資家たちにとって、メタバース分野は今後も注視すべきものになるでしょう。
免責事項:暗号資産の取引には重大なリスクが伴い、投資した資本が失われる可能性があります。記事の内容は、投資、税務、法務、財務、会計、コンサルティング、またはその他の関連サービスに関するアドバイスの提供とは関係がなく、資産の購入、売却、または保有に関する推奨事項でもありません。 Chainpostは情報のみを提供し、具体的な投資に関するアドバイスは提供しておりません。投資する際には、必ず様々なリスクを理解してから投資しましょう。